池田写真塾 第七回
「カメラシステム講座その1」
門下生:ところで、新品にしても中古にしてもシステムということを考えなければ始まりませんよね。
塾長 :さすがはシステムエンジニア、そうきましたか。
塾生 :職業はこの際関係ないと思うけど・・・でもボディ一つにレンズ一本というのも使いにくいと
いうか、表現の幅がないというか、寂しいというか。
塾長 :その辺を考慮して今の一眼レフのエントリーモデルにはちゃんと二本のレンズがセットになって
いるね。「ダブルズーム」っていうやつだ。
28〜80mm/F3.5~5.6と100〜300mm/F4.5~5.6というパターンが一般的だね。
その上バッグと三脚がついてハイッこのお値段!
門下生:おばさんの声で「うわーっ」って言いましょうか、テレビショッピングだ、それじゃあ。
塾長 :でもあの辺がミニマムシステムと考えてもいいと思うよ。
塾生 :おまけに20回払いでも金利、手数料は一切掛からないし。
塾長 :そこへきますか、このファイナンシャルプランナー。
門下生:だから職業関係ありませんって。
塾長 :前回、君が「貰い物でシステム一丁上がり」みたいなこと言ってたけど、広角、標準、望遠を
抑えていればシステムのベースにはなる。そこから個人の嗜好、志向、思考に応じてレンズや
アクセサリーを増やせばいい。
塾生 :塾長のシステム見せてよ。
塾長 :いいよ、僕はニコンでシステムを組んだ。中古市場での流通量が豊富な事と、古いレンズが最近
のボディで使えるのが長所だね。
門下生:Tokina
AiAF28〜70/2.8D AiAF35~105/3.5~4.5s Ai改Auto35/2.8 AiAF50/1.4D AiAF60/2.8sMicro
Ai85/1.4s
TAMRON SPAF90/2.5D Ai改Auto105/2.5
Ai改New105/2.5 AiAF180/2.8s。
ボディがF4s FE2 F-401xですか。一見中望遠域が充実してますけど、新旧ごちゃまぜですね。
塾長 :そこがニコンの楽しさであり、ある意味ウィークポイントなのかもね。
この二本のAuto Nikkorを見てごらん。両方とも最初期のレンズなんだけど、Ai改造を施してある
から現行のボディに付けて使えるんだ。プロが記者会見やスポーツの現場で使うのには不便だけ
ども、僕らが遊ぶ分には逆に洒落てたりするでしょ。
塾生 :その他のアクセサリーは?
塾長 :F4とFE2はファインダースクリーンをEタイプに交換してある。
格子が刻んであるから水平の確認や構図の判断が楽なんだ。
あと、FE2のアイピースを-2ディオプターに変更してある。
それからアイカップ、屋外撮影の必需品だね。ファインダー関係はその位だ。
あとFE2にはモータードライブMD-12を付けてある。自動巻上げという機能は当然だが、
重いレンズを付けた時のバラストとして非常に重宝している。
このMD-12にターミナルシャッターMR-3を付ければ縦位置シャッターとして使える。
僕は結構縦位置撮影をする方だからこれも重宝しているんだ。
門下生:ストロボ関係はどうですか?
塾長 :F4s用にSB-24、FE-2用にはSB-16Bがある。
それから、一度にこの二台を同時発光させる為の増灯コードSC-18、
ストロボをボディから離して使う時の調光コードSC-17がある。
室内撮影で人物の後ろに出る嫌な影を消したり、逆に影を強調したい時に使ってるんだ。
塾生 :メーカーも細かなアクセサリー用意してあるんだね。
塾長 :システムという概念は人それぞれだけど、何処までリカバリー出来るかでブランドの品格が
問われるということかな。35mm一眼レフというカテゴリーはプロと素人の道具の境がない、
他に例のない機械的ジャンルでしょう。言い換えれば素人でも比較的低予算でプロの道具が
手に入れられる。プロ同様の写真のクォリティを誰もが味わえるチャンスがあるということ
なんだ。勿論絵心というか構図決定、露出選択などのテクニックが備わってのハナシだけどね。
門下生:僕のミノルタはこれ以上システムの拡張は無理なのかなぁ?
塾長 :まずレンズ、完全じゃないけどミノルタはまだMDマウントのレンズ出してるよ。
中古レンズも比較的豊富だ。好みの被写体が決まったら、必要に応じて買い足せばいい。
ストロボもパナソニックやサンパックの汎用型を使えば問題ない。
でもストロボ撮影の精度を求めるならAF以降のシステムも考慮したほうがいいかもね。
門下生:塾長のお勧めブランドは?
塾長 :正直何処も大差ないと思ってる、いい意味で。逆にこだわる必要ないんじゃないかな。
だけど最初のシステムの構築が終わらないうちにあれこれ手を出すと、結局どれもが中途半端
に終わってしまう、SR505セットはあくまで入門機と考えて欲しい。
門下生:んな無責任な・・・じゃあ選び方のコツ、教えてくださいよ。
塾長 :よしっ!今回の一番大事なポイントだから、しっかり肝に銘じておく様に、いいかい。
カッチョいいと思える機械を買いましょう。
塾生 :おまえアホか!
塾長 :あのなぁ、かっこ悪い機械買ったらどうしても引け目を感じるじゃないか。
結果あんまり使わなくなる。写真が上手くなる訳がない。
反対にカッチョいいの持ってると愛着が湧くし、撮影が楽しくなる。
結果たくさん撮影するうちに上達してるという訳だ。
あばたも笑窪じゃないけどその機械の欠点も補えるようになる。
門下生:所詮、僕等にとってはおもちゃですもんね。
実際内容は悪くないのに格好悪いだけで売れなかった機械もあるって聞きます。
いくら安くてもそういうのはパスした方が賢明ですね。
塾長 :10年前からカメラの機能なんてもう充分納得のレベルにあるから、あとはデザインが気に入れ
ばそれでよし、気に入ったボディを核にレンズを揃えていけばいい。現行機種はその辺のマー
ケットリサーチがしっかりしているからハズレの機械がほとんどないよね。カメラのグレードは
一般的に最高級、高級、中堅、エントリーモデルの四段階に分けられるけど、各社最高級は
勿論、高級、中堅グレードも購買欲をそそられるモデルばっかりだ。
エントリーモデルも以前の中堅並みの内容だから侮れないしね。
そういう意味でもブランド的差異は少ないと思うんだ。
あとはお財布との相談ということですね。
塾生 :中古市場はどうなってるの。
塾長 :いいレンズの出物が少ない。もう中古ブームというほどではないけれど、市場は広がったから
人気の機種は相変わらず高値安定だね。ボディを新品で買ってレンズは中古で増やしていく、
そういうユーザーが多いんじゃないかな。
またボディはグレードアップの為の買い替え需要ってあるんだけど、
レンズは短期間でグレードアップするモンじゃないから、使わなくならない限り手放さないで
しょ。そうそう痛むモンじゃないし、痛んでも修理の方が圧倒的に安上がりだし。
下取りに出せば買い叩かれるし。
僕のレンズなんてAiAF50/1.4D以外全部中古だけど、安く買えるのしか買ってないんだよ。
それでも僕の志向、嗜好にはぴったりなんだ。
門下生:買い物は慎重に・・ですね。
塾長 :出来れば楽しみたいよね。買える範囲で欲しいモノを買って、使い込んでそのボディやレンズ
の個性を理解する。使う人と道具が一体となった時、結果としてよい写真、
つまり作品が生まれると思うんだ。カメラの世界にもコレクションという概念はあるし、
僕はそれを否定しない。僕はいい写真を撮りたいからいいカメラを買った。
あとは腕前を上げるのみ。
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