池田写真塾 第六回
「中古カメラ講座その3」
塾長 :今日はもう一人の塾生を紹介する、さ、入っておいで。
塾生 :こんにちは、よろしくお願いします。
塾長 :挨拶しながらビデオ回すのやめなさい、まぁビデオもカメラのうちだから禁止にはしないけど。
門下生:よろしく。
塾長 :便宜的に門下生と塾生でいくけど、実は塾生君は僕より写真歴長いんだ。
「スナップの帝王」と呼ばれていた時代もある。彼が旅行に参加すると判ると、
誰もカメラを持って来なかったという位いつもカメラを持ち歩いていた。
今ではそれがビデオに取って代わっただけのことだ。
門下生:どんなカメラを使ってたんですか?
塾生 :オリンパスXAやコニカC35ですね。
塾長 :今では結構マニアックなカメラだけど、両方とも当時のヒット商品なんだ。
塾生 :それから、ペンタックスSVなんていうカメラも使ったりしたんだけど、ある人が
「くれ、くれ」いうもんだからあげちゃったんだ。
門下生:またですか。ちょっと見せて下さい・・・渋いというのか、年季モンというのか・・
塾長 :このデザインはペンタックス初の一眼レフ、「アサヒペンタックスAP」のモノを踏襲して
いるね。この機械の先代「S3」はビートルズの“A HARD
DAY‘S NIGHT”でリンゴ・スター
が街を徘徊する場面で使っていたね。デザインや機能は殆ど同じカメラなんだ。
だけど、基本的な機能はこの頃のカメラも80年代のカメラも大差ないんだよ。
せいぜい露出の自動化が進んだ位で、操作系に関しては一箇所を除いて何にも変わってない。
塾生 :その一箇所ってどこ?
塾長 :レンズのマウント部分。ほら、ネジが切ってあるだろう。
M42マウントとかプラクチカマウントとか呼ばれるユニバーサルマウントのひとつだ。
門下生:ユニバーサルマウントって何ですか。
塾長 :複数のブランドが採用しているマウントのことだ。当時国内ではペンタックス以外にもフジカ、
ヤシカ、リコー、ペトリ、マミヤ、オリンパス、ミランダなんかのカメラメーカーが採用して
いた。レンズメーカーは全社採用してたはずだ。
塾生 :互換性は問題なかったの?
塾長 :統一規格だから心配ない。つまり、一台のボディでいろんな会社のレンズが楽しめたという
訳だね。いまでも中古ショップで比較的安価に買えるレンズだから「ペンタックスSPF」あたり
のボディを買っておくと良いかもしれないね。僕も露出計が壊れているけど「SPF」を一台
持っているんだ。レンズは会社で使わなくなったヤツを・・・
門下生:貰いすぎじゃありませんか?「人生の哲学」ですか!
塾長 :ちゃんと部長に許可取って貰ってきたんだ。蔑んだような眼で僕を見るな!
塾生 :いったい何本位失敬して来たのよ?
塾長 :「失敬」っていうなよ。35mmが2本と135mmが1本だけだ。
門下生:3本持ってきて「だけだ」はないでしょう。それにボディに付いてた50mmでシステム一丁
あがりじゃないですか。
塾長 :本当は28mmが欲しかったんだけど・・・
門下生&塾生 :自分で買えーっ!自分でぇ。
塾長 :なんか、貧乏臭いカメラ講座になってきたなぁ。でも写りはピカイチだよ。
塾生 :それは塾長の手柄というより、当時の技術者と今のフィルムメーカーの手柄だよね。
塾長 :きつい事いうねえ、君は!だけど愉しんだモン勝ちだから、この世の中は。
「SV」なんだけど、うちに来た時には既にシャッター幕が駄目になってたんだ。
直るんだが随分取られるんだって。外付け露出計も買ったけど、結局使ってないんだ。
門下生:ペンタックス、奥が深そうですね。
温故知新と言うか古いカメラで最新型に負けない写真を撮る。醍醐味ですね。
塾長 :実際撮れるんだ。ペンタックスに限らず現行のブランドならまず大丈夫だね。
要は創作意欲を揺さぶる被写体との「出会い」が肝心。じゃあちょっと出会ってくるか。
門下生:それなら僕におまかせ。
塾生 :あ〜あ行っちゃった。
戻る