池田写真塾 第五回
「中古カメラ講座その2」
門下生:ところで、カメラといえば一眼レフのことしか眼中にないんですか?
塾長 :個人的には、最も使い易いカメラのカテゴリーが35mm一眼レフだと思っているけど、
コンパクトカメラやレンジファインダーカメラにも逸品は多いんだよ。
門下生:どういう意味での逸品なんですか?
塾長 :なんと言っても描写の素晴らしさ、つまりレンズの良さが光るという点だ。
フィルム会社系のコンパクトカメラにはそういったカメラがよくある。
気をつけたいのは量販店などの特売で取り上げられるズームレンズの付いたタイプだ。
プラスチックレンズが使われていて、被写体の輪郭が虹色に滲んだりするんだ。
おまけにピントが甘くて全体にボヤーっとした仕上がりになったりするんだ。
門下生:価格破壊の弊害がこんなところにも・・・・
塾長 :日本のコンパクト・レンジファインダーカメラの歴史はドイツのライカ、コンタックスの
コピーから始まったんだ。メカニズム、レンズの構造についてもこの二社を手本にしたり、
まるごとパクッたりしながら独自の機構を模索した時代が僕らが生まれた頃まで続いていた
みたいだね。やがてライカからM3という名機がリリースされた頃から国内各社はその技術
水準の高さに脱帽し、方向転換を余儀なくされたというわけだ。でもその頃の国産レンズは、
すでに世界水準に達していたんだよ。実際1960年代のカメラやレンズに今のフィルムを入れて
撮影すれば判る事だが、今のカメラに決して負けない描写をする物がいっぱいあるんだ。
門下生:貨幣価値から考えても、たとえコンパクトカメラでも高価な買い物だったでしょうからね。
塾長 :いわゆる「物価の優等生」の範疇にはいる商品だろうね。作りがいいんだよ、
30年前のカメラで、今でも作動するような物は。そんなところも中古カメラの魅力かもね。
門下生:ただ、そんなに古いカメラ、基本的に修理出来ないんじゃないですか。
塾長 :いや、そうでもないんだ。むしろ修理で蘇る可能性があるのはその頃のカメラかもしれない。
電気的な機構に頼ってない、つまり機械式だから部品が再生し易いんだ。
逆に言うとプリント基板がぎっしり詰まった1980年代前半のカメラは、
当時のICやLSI等基盤上のパーツがもう手に入らないから直せない。
せいぜい機械的な部分のオーバーホールが精一杯だろうね。
あと機械式カメラの場合、故障の原因が油切れとか埃が詰まった等結構単純だったりすることも
多いからバラして組み直せばOKみたいなケースもあるっていうしね。
門下生:ニコンFやF2のフォトミックファインダー(露出計内蔵ファインダー)が、露出計なしの
ファインダーより安く売られている訳が分かりました。でも機械さえ壊れてなければ、たとえ
露出計が逝ってたって写真撮れる訳だから、安くて良い買い物するツボみたいなもんですね。
塾長 :実際、露出計が壊れてるカメラはジャンク扱いだ。無造作にワゴンに入れられて、
「¥1、000」とか「¥500」なんて値札が付けられていたりするんだ。
そんなカメラにお目に掛かると、もう嬉しくてつい買っちゃうんだけど、よく調べてみたら、
単なる電池切れだったりすることもたまにある。正直言うと過去に一度だけあった。
ボディよりも電池の方が高い買い物なんて変な話しだけど、好きな人はその辺の事情よく知っ
ているから、最近ワゴンの中から使えるジャンクが姿を消した。
門下生:まさか、あのミノルタが・・・
塾長 :いやあれはそうじゃないから安心しなさい。しかもオーバーホールに出してある。
門下生:少ない予算で使えるシステムを組みたかったら、いい方法ですね。
塾長 :そうだね。気を付けたいのは、いわゆるコレクターズアイテムになってるカメラは避けること
だね。高いから。SR505をマスターしたら今度はAFに挑戦してみては如何かな。
ニコンやペンタックスみたいにMFレンズが使えるボディがいいんじゃないかな。
門下生:一度カメラ屋さん覗いてみます。じゃあまた来ますね。
塾長 :いいカメラ見つけたら僕にも知らせて。あ、次からもう一人門下生が来るからよろしくね。