池田写真塾 第三回
「フィルムとプリント講座その2」
門下生:きょうは先生ちゃんと来てますね。あれ、返事がないな、先生、先生!
塾長 :うわっ びっくりするじゃないか!
門下生:何してたんですか、ま、どうせ今日も、
・・・なに、心霊写真〜っ?こんなの好きなんですか?
塾長 :そうでもないけど、勝手にオフしたら霊がパソコンに乗移るんじゃないかと・・
門下生:もう遅いですよ、だってあーなーたーのーうーしーろーにぃ・・・・わっ!
塾長 :ぎゃーっっていつまでやってるの。さあ始めますよ。
門下生:今日の講座、まさか心霊写真についてじゃないでしょうね。
塾長 :そんな訳ないだろう。夏休みスペシャルじゃあるまいし。でも以前、真面目なカメラ雑誌に
「心霊写真の特集やって下さい」って投書してきた馬鹿がいたぞ。
門下生:その雑誌の回答は?
塾長 :「ムー」などの雑誌にお願いして下さい、だって。まあそんな事はどうでもいい。
今日もフィルムとプリントでいくぞ。
門下生:そうだ、先生、質問があります。
ISO100のフィルムとISO400のフィルムでは写真の仕上がりが違うそうですが、なぜですか?
塾長 :それはだなぁ、フィルムに塗られている感光液の成分に起因するんだ。
400は100に比べて4倍感光しやすい、つまり同じ面積の中に4倍の感光成分が含まれている
ということだ。それだけ聞くと「結構なことですね」だが、
その分色を感じる成分が100に比べて少ないということになる。
欽ちゃんがフィルムの宣伝やってた頃は400のフィルムはまだ特殊用途だったんだよ。
門下生:「どっちが得かよ〜く考えてみよう。」っていうやつですね。へーそうなんだ。
塾長 :だけど、人間というものは段々贅沢になっていくもので、いつの間にか400がフィルムの
主流になってしまってる。今売ってるコンパクトカメラの大半は400のフィルムを使うこと
が前提で開発されていると考えてよい。
門下生:確かに同じグレードなら400のほうが100よりも値段が高いですね。
実際プリントしたらその差は歴然ですか?
塾長 :いや、それほどでもないんだなぁ。
これはプリントする人のせいじゃなくて、機械によるものなんだ。
いい悪いをいってるんじゃないよ。
今のプリンターはネガに直接光を当てて印画紙の上に像を焼き付けるんじゃないんだ。
フィルムをスキャンして、ちょうどプロジェクターのようにして印画紙に焼き付ける。
結果100の絵と400の絵の差がそれほどなくなるということだ。
ただしこれはL判の話で、2Lサイズまで伸ばすと粒状性の違いが判るようになる。
それから、今の400は色感能力が高くなったから以前ほどはザラザラしなくなった。
これは僕の持論だが、写真の内容によっては、ザラザラ感が必要な時もある。
ケースバイケースで使い分ければいいという事だね。それから、
400は100よりもラチチュード、許容範囲が広いから少々露出を間違えてもちゃんと
プリントできるんだよ。
門下生:どんな風に使い分ければいいんですか。
塾長 :100と400の一長一短についてだが、君のカメラはシャッタースピード、いくつまで出せる?
門下生:1/1000秒ですが。
塾長 :そうすると、真夏の炎天下、400のフィルム入れて50mmF1.4を使うとすると絞りに選択の
余地がなくなる。
門下生:シャッタースピードが遅くて、2とか2.8とかの解放付近の絞りが使えないという事ですね。
「ボケ」が活かせない、表現に幅がなくなる。
塾長 :記録写真ならそれでもいいが、例えばポートレートみたいな写真ではちょっと辛いものがある。
なだらかな「ボケ」がほしいからね。
門下生:そういう時は100の出番ですね。じゃあ400は?
塾長 :例えば運動会の徒競走。曇り空である程度絞った状態で撮ると、手足が流れたような絵になる。
シャッタースピードが稼げないからだ。
もっとも運動会の日は天気が心配だから両方持って行くに越した事はない。
それから室内でのストロボ撮影、ストロボ光が100の1/4だから例の赤眼を軽減するのにも
役立つ。あと、F値の暗いズームレンズを使う時にも手ブレを抑える目的で、
これもシャッタースピードを稼ぐということだが、使った方がいい。
門下生:100より低感度のフィルムってあるんですか?
塾長 :あるよ、カメラにも感度設定出来る様になってるだろ。
ほら、80,64,50,40,32,25,20,16こんなに細かく刻んである。
もっとも、64や50,25以外のフィルムにはまだ御目に掛かったことはないけどね。
量販店のフィルムコーナーに行けばその三本は常備してある。
それからいい事教えてあげよう。
フィルムでいいカッコしたければ、コダックのKODACRHOME64を買いなさい。
あと、フィルムのパンフレットを必ず貰ってくる事、いいテキストになる。
門下生:さすがは「タダ貰いのケン」と呼ばれるだけのことはある。
塾長 :それあんまりよそで言わないでね。ちょっと恥ずかしいから。
門下生:フィルムの話、奥が深いですね。コンビニで気軽に買えるモノなのに。
塾長 :まぁフィルムあってのカメラだから、それじゃあ今日はここまで。